院長コラム4(新型コロナウイルス感染について思うこと)

2020-04-05

新型コロナウイルス感染について思うこと

群馬県においては4月5日現在,新型コロナウイルス感染症患者は26例と報告されています.同日の東京都の新型コロナウイルス感染症患者は1034例です.群馬県の人口はおよそ200万人でその7倍が東京都の人口(およそ1400万人)です.しかしながら感染患者数は東京都は群馬県の43倍です.東京都の人口密度は47都道府県中の第一位の約6千人/k㎡で,群馬県は21位の306人/k㎡です.いまだ感染者がいない鳥取県は37位の159人/k㎡,島根県は43位の101人/k㎡,岩手県は46位の81人/k㎡となっています.やはり人口密度が高ければ高いほどいわゆる3つの密の機会が増えるはずでしょうから当然といえば当然の結果であると思います.だからといって他の要因もあることは重々承知でございます.このように感染状況に地域差があることは事実で,各地域ごとに警戒レベルが異なることを認識した上で正しく怖がるべきであると考えてます.ただし,発病しない無症状の新型コロナウイルスに感染している人の数を加味すればこの数の倍以上見積もらなければなりませんのであくまでも油断は禁物です.

一般的に従業員や来訪者と2m以上距離をとれない職種は感染経路が飛沫感染の感染症の感染リスクが高いとされています.医療機関である歯科医院も当然,患者さんとの距離は2m以上は離せません.しかし,他の職種と圧倒的に違うのは医療機関の感染予防対策はそれを熟知しているプロフェッショナが行っているということを忘れてはいけないのです.医療機関の感染対策の質は他の職種とは比べ物にならないほど高いレベルで行われているのです.

さて,当院は開業当初よりスタンダードプリコーションに則った感染対策を実践している歯科医院です.当院の感染予防対策は,①手指衛生,②グローブに代表される単回使用器具の取り扱い(患者毎の使い捨て),③個人防護具の適正使用,④バリアテクニックの実践,⑤ハンドピースに代表される繰り返し使用する器具の洗浄・消毒・滅菌の5つの方策をすべての患者に対して差をつけることなく均一に行うスタンダートプリコーションに則った感染予防対策を実践しています.

患者さん毎の滅菌作業は最早当たり前のことで,特に軽視されがちで注意が必要なのは④のバリアテクニックです.これはいわゆる接触感染,正確には交差感染(物や手指を介して感染伝播がすること)を防ぐためには必須の感染予防策です.歯科治療中は必ず患者さんの唾液(種々のウイルスが含まれている可能性があります)などの体液がグローブに付着します.その汚染されたグローブでスイッチ類やライトハンドルなどを触れた場合は次の患者さんに交差感染を引き起こす可能性があります.治療中に触れる環境表面の範囲は多岐にわたるので,治療後に消毒薬で拭くのでは不十分となってしまうのです.それ故,治療前にそれらの環境表面をすべてラップ材やビニールカバーなどのバリア材で被って,治療後にはそのバリア材は破棄します.このことにより,患者→患者,スタッフ→患者といった交差感染を阻止することができるのです.以上述べた感染予防策は私一人が熟知し,実践しているのではなく当院に勤務するすべてのスタッフがこれらを熟知し日々実践しているのです.詳細については「当院の感染管理」を御覧ください.

感染症予防対策にはスタンダートプリコーションのみで達成できる感染症(HBV,HIVなど)とさらに感染経路別対策が必要となってくる感染症とに大きく分けられます.新型コロナウイルスのように感染経路が飛沫感染や接触感染をとる感染症は,感染源を隔離(感染者と非感染者を完全に分離すること)する感染経路別対策がスタンダートプリコーションにプラスして必要となってきます.そして,それはあくまでも新型コロナウイルス感染患者やその疑い患者がそこに存在するという前提の元に成り立つ入院患者に行う対策なので,すべての患者に行うこと自体不可能な対策です.それでも昨今の新型コロナウイルスの猛威に対して,スタンダートプリコーションに則っている感染予防対策であれば感染のリスクをかなり低く抑えることは可能です.スタンダートプリコーションに則っていない感染予防策ではとてもじゃありませんが太刀打ちなどできるはずはありません.

そもそも歯科医院に症状のある新型コロナウイルス感染患者が受診すること自体レアケースです.しかしながら感染伝播の可能性のある潜伏期間内や無症状の新型コロナウイルス感染患者が受診するリスクはゼロでありませんから,そのことも想定して感染予防対策を実践しなければなりません.診療中に発生する患者さんの唾液などの体液を含むエアロゾルや歯や義歯のなどの飛散物について十分な対策を講じなければなりません.当院は個室診療(全治療室および待合室に空気清浄機設置)です.全個室に開閉可能な窓が設置され換気も容易にでき,エアロゾルや飛散物も高いレベルで防ぐことが可能です.さらに当院では必要な症例にはラバーダムを必ず装着します.ラバーダムを装着することによって唾液などの体液を含むエアロゾルをほぼ防ぐことができます.

現在,当院で新たに追加して行っている新型コロナウイルス対策として,

①すべての患者さんの検温,新型コロナウイルス感染に関連する事項の問診

②待合室の椅子の配置,雑誌などの共有物の廃止

③予約患者の制限

④当院を訪れるすべての人が触れる部分(ドアノブ,待合室の椅子,トイレ内の便座やスイッチ類など)の定期的な消毒

⑤治療終了ごとの治療室の換気,

⑥筆記用具を用いた問診票記入時には患者さんの手指の消毒の徹底

などを常日頃より実践しています.

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